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不動産管理会社の選び方(初級編)

不動産管理会社の選び方
平成29年1月31日
株式会社エムジェイエフ
代表取締役 森川 裕昭
一般に「マンションは管理を買え」とよく言われます。
実際にお住まいされる物件をお探しの場合、「管理の状況」は気になる所だと思います。「居住の快適性・生活の利便性」を第一に物件を選択されるでしょう。
不動産投資として購入される場合、オーナーは実際にお住まいになることがないため、物件の判断材料は、いかに収益が上げられるかを着目した「収益性」にて判断されることでしょう。
購入時に不動産会社から発行される「重要事項説明書」の中では、「管理の状況」に関して説明される内容は、月額管理費・修繕積立金額とその滞納の有無、修繕積立金総額、管理組合の負債の有無などの財政状況や、管理会社名やその連絡先、管理形態等の説明にとどまります。当然、その財政状況等は重要な物件の資料ではありますが、あくまで現在(過去)の状況を示したものとなります。
しかし将来においては、実際の管理状況、トラブルの有無やその対処履歴、今後の管理方針など「管理のあり方・管理のあるべき姿」が、物件としての資産価値を決定づけていきます。つまり、管理の質を向上させ高度に維持をしていけば、競合物件と比べて資産価値が保てることを意味しています。
この不動産投資として一番大事なことは、当然ながら、賃料収入を得ることです。どれ程物件の外観や設備等に投資をしようが、物件に対してオーナーに強い思い入れがあろうが、また、賃料等の値下げをしようが、実際入居希望者が数ある物件の中からその物件に住むことを選択して頂けなければ、このビジネスは成り立ちません。
多くの入居希望者は、あらかじめ初期費用や賃料等の負担額、立地、設備等の基本情報を不動産会社より提供してもらった上で、実際に現地を内覧し最終決定を行ないます。内覧する際に確実に利用する共用部分(エントランス・共用廊下・エレベータ等)の美観が保たれていなければ(清潔感がなければ)、また、掲示板等での警告貼紙等で、まるで犯人捜しをしているような、あるいは入居者間での責任の擦り付け合うような雰囲気がにじみ出ている物件なら、入居希望者はその物件を避けていくでしょう。つまり、管理をふくめた現場の状態そのものが意思決定の最終判断材料となり、それを不快に感じさせてしまったならば、その心象を覆すことは以後不可能に近くなります。
凡そ、単身者向け物件は平均4年、ファミリー向け物件であれは平均5年間、借りるというデータがありますが、その収益を逃す原因となります。
オーナーは、入居希望者や入居者目線で物件を管理していく必要があります。
その重要な使命をオーナーに成り代わって業務を行う不動産管理会社は、業務内容により、通常2つに分類できます。建物管理会社と賃貸管理会社です。
建物管理は、「共用部分の維持・管理するため、清掃・点検・修繕などの各種業務を行うこと、またはそれを請け負う事業」のことです。
主な業務として、①清掃・衛生管理(日常清掃)、②設備管理(給排水・電気・通信設備)、③常駐警備・防災(巡回)、④管理サービス(居住者への利便向上のためのサービス)、⑤管理組合の運営補助(出納業務・総会運営補助業務)等に分けられ、オーナー(管理組合)と管理会社との間で締結される「請負契約書」に基づき、業務を行っていきます。
実際の請負契約においては、物件の築年数・性質・規模等を踏まえ、その物件のあるべき姿を管理会社に説明し、綿密な打ち合わせのもとに、無駄なコストをかけないよう業務内容を決定することが必要です。また、随時、状況に応じて、契約内容業務頻度を変更することも必要だと言えます。
当然コストをかけるほど成果が上がることにつながりますが、その一方、収益が下がることも意味しますので、入居希望者・入居者がその物件に求める管理状態がどのレベルであるのかを見極めることが重要です。
特に日常清掃に関しては、作業者の能力・向上心・責任感により完成度が大きく変わります。日常清掃をシビアに行うことが清潔感を保てる一番の近道です。現場チェックを常に行い、些細なことでも管理会社に対し要望や指摘を行うことが重要となります。入居者側の協力も必要でしょう。オーナー自身もその管理サービスの一役を担うということを踏まえなければならないと思われます。
一方、賃貸管理は、「オーナーの代理として専有部分を使用・利用して、オーナーの収益を上げるために行う事業」のことです。
大きく分けて3つの業務に分かれます。①入居募集業務、②契約管理業務、③出納業務に大別されます。
入居募集業務(リーシング業務)は、自社にて入居希望者を直接探す場合と、他社仲介業者に対し情報提供を行うことで入居者を探してもらう場合があります。いずれの方法においても、オーナーは賃料収入として収益を得ることが最大の目的ですので、入居者集客能力が管理会社の能力であるといってもいいでしょう。
契約管理とは、オーナーの代理として、賃貸借契約管理業務(賃貸借契約内容に基づいた対応や業務)、現場管理業務(クレーム対応・メンテナンス対応・退去時原状回復工事)を行い、スムーズな賃貸経営を継続するために行います。
出納業務は、家賃等の集金および送金、未納者に対しては滞納督促を行い、キャッシュフロー面でオーナーの賃貸経営をフォローしていきます。
それぞれの業務内容は、オーナーと管理会社との間で締結される「管理委託契約書」に基づき、業務を行っていきます。建物管理と異なるのは、業務内容自体はどの会社も大差がなく、対応方法、責任範囲、期日、金額等に差異があると言えます。但し、担当者の能力・対応次第で全く違う結果になりかねないということです。特にクレーム対応は、対応によって入居者の理解が得られずいずれ退去していくきっかけとなりますので、注意が必要です。管理会社として、「テナントリテンション(入居者に永く住んでもらう為の満足度アップ対策)」は重要な対策です。入居者に長くお住まいいただくことが、最大の収益を得られることにつながります。
管理会社は、規模により特色があると言えます。
大規模管理会社は、長所としては、企業として安定と実績があげられます。一方短所としては、個性を排除されている(完全定型化・即座に対応できない、依頼者の意向が反映しづらい)、コストが比較的に高い、実務作業者の経験や能力は未知数であるなどのデメリットが考えられます。
小中規模管理会社は、長所としては、依頼者の意向が反映しやすく利益度返しでの対応がしやすく融通がきくこと、コストが比較的安価であることがあげられます。短所としては、企業として不安定で実績がない、将来性が不透明、作業者・指示者の経験や能力が欠如している可能性がある、時間と経費を十分掛けられないので成果が上がりづらい、物件所在地・物件種別・業務内容が限定されている、緊急時対応や今後のコンサルティングに対して提案できる選択肢が少ないことやその場合高額になりやすいなどが考えられます。
いずれも一長一短があり、大規模な管理会社のほうが安心であると思われがちですが、実際の担当者・作業者の能力・責任感により、成果が大きく変わることを認識しておくべきだと思います。
物件を取得するときに紐づきにて管理会社が決定していることも多いですが、担当者を含め管理会社の対応能力によりその後の物件の価値が決まってくるとも言えます。管理状態も物件価値の重要な要素であります。一度「管理が悪い」と世間に評価された物件を覆すには難題と言えます。
また、管理料等の報酬額も千差万別です。一概に安価な設定をしている管理会社であれば良いのではなく、例え報酬額が高くても、オーナーにそれ以上の収益をもたらせてくれる対応をして頂けるのであれば、その管理会社を選ぶことは正しいといえるのでないのでしょうか。
通常、管理会社の担当者は、月次をサイクルとしてルーチンワークで動いております。契約内容が多岐にわたる「賃貸借契約書」や「請負契約書」に基づいて、オーナーを代理して作業を行っております。電話応対、書類作成、運用システムの登録、各種書類の発送・回収・保管等に代表される単純作業に追われます。その中で、クレーム対応など突発的な緊急性がある業務が舞い込んできます。そのようなルーチンワークをこなす中で、緊急な対応を求められ続けます。
その多忙な時間の制約がある中で、担当者はオーナーに対して将来を見越した有効な改善や提案できる時間や機会が持てないのが通常です。ですが、オーナーの資産価値を上げることができるのは、物件の状況を把握できる資料を持ち、かつ専門知識を持った管理会社だけなのです。管理会社としてはルーチンワークの業務はこなせて当たり前の時代。オーナーに対し、より収益を上げるための改善・企画提案を行えているかどうかで、信頼できる管理会社であるかが選別できるのではないでしょうか。
時には、管理会社として収益を上げるために必要な追加投資をして頂くようオーナーにお願いすることがあるでしょう。担当者としては「追加投資をしてください」というのは気持ちが乗らない、嫌われるのではないかと恐れて言い出しにくい。また会社より売り上げを上げないといけないという指示も出ているかも知れません。ですが、オーナーの資産価値を上げるという使命を持った立場に立つのであれば、管理会社は、市場調査を正確に行い、その追加投資が収益性を向上するのに有効であるかを判断できる資料を提示することにより、最終判断をオーナーに仰ぐことが、重要な仕事であると思います。
それができる管理会社が今後選ばれていくのではないのでしょうか。

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